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授乳中のヒアルロン酸は大丈夫?麻酔と製剤の影響・授乳再開の目安は

出産を終えて、「そろそろヒアルロン酸で気になるところを整えたい。でも授乳中だから大丈夫かな…」というご相談が、名古屋・名駅のベルヴィアクリニックにも数多く寄せられます。ほうれい線や涙袋、唇のボリュームなど、産後に気になり始める方は少なくありません。
一方で、「母乳に影響しないの?」「いつから授乳していいの?」という不安もつきものです。ネット上には「まったく問題ない」から「授乳が終わるまで待つべき」まで情報が入り乱れ、かえって判断に迷ってしまいます。本コラムでは、良いことだけでなくデメリット・リスクも含めて正直に、形成外科専門医の視点から解説します。
結論として、当院では授乳中のヒアルロン酸注入は「施術後3日(72時間)を目安に授乳を再開」いただければ問題ないと考えています。麻酔・ヒアルロン酸ともに母乳への移行はごくわずかですが、授乳という大切な時期だからこそ、あえて安全側に余裕をもたせた目安をご案内しています。
授乳中のヒアルロン酸、まず「2つ」に分けて考える
授乳中のヒアルロン酸で心配すべきポイントは、大きく2つに分かれます。ひとつは注入時に使う「局所麻酔」、もうひとつは「ヒアルロン酸そのもの」です。この2つは体内でのふるまいがまったく異なるため、分けて考えると理解しやすくなります。
| 項目 | 局所麻酔(リドカイン) | ヒアルロン酸 |
|---|---|---|
| 母乳への移行 | ごく微量 | ごく微量(ほぼ検出限界) |
| 代謝の速さ | 非常に速い(数分〜数時間) | 局所で数ヶ月かけて分解 |
| 授乳への影響 | 翌日にはほぼ消失 | 全身への移行が少なく影響も小さい |
| 念のための待機目安 | 半日〜1日 | 3日(当院の目安) |
局所麻酔は「翌日にはほぼ問題なし」
ヒアルロン酸注入では、痛みをやわらげるために局所麻酔(リドカインなど)を使うことがあります。米国国立医学図書館の公的データベース(LactMed)では、リドカインは授乳を中断する必要がないほど安全性が高いとされています。
薬理学的にも、注入された局所麻酔は血中に入ってもすぐに肝臓で代謝され、半減期はごく短いのが特徴です。歯科でリドカインを投与した研究では、母乳中の濃度は投与30分後をピークに、2時間後には大きく低下します。赤ちゃんの消化管からの吸収もわずかで、影響はほとんど問題にならないレベルです。麻酔単独であれば、翌日の授乳はまず心配いりません。
ヒアルロン酸は「その場にとどまる」——解剖学的に考える
ヒアルロン酸はもともと私たちの皮膚や関節に存在する成分です。注入されたヒアルロン酸は、皮下や真皮といった目的の組織層(プレーン)にとどまり、そこで少しずつ酵素(ヒアルロニダーゼ)や活性酸素によって分解されていきます。分解された成分は最終的に酢酸や乳酸といった無害な物質になり、体内で自然に代謝されます。
解剖学的にみると、皮下組織のヒアルロン酸はリンパ管を介してゆっくり処理されるため、乳腺や母乳へまとまって移行する経路は考えにくいのが実際です。動物実験でも「ヒアルロン酸そのものの形で母乳に出る量はごく微量(ほぼ検出限界レベル)で、母子ともに毒性は認められなかった」と報告されています。
正直にお伝えするリスク・注意点
安心材料が多い一方で、正直にお伝えすべき点もあります。「授乳中のヒアルロン酸は完全に安全」と断言できるだけの直接的な研究データは、まだ十分ではありません。美容医療全般をまとめた総説でも、授乳中は薬剤の全身吸収が少なく多くの施術は概ね安全とされる一方、フィラー(注入剤)については授乳中を対象とした確かなデータが乏しく、確定的な推奨は難しいとされています。だからこそ、当院は余裕をもった待機期間を設けています。
授乳よりも「注入手技そのもの」のリスクが重要
実は、授乳中に限らずヒアルロン酸注入で本当に注意すべきなのは、まれではあるものの重篤な血管塞栓(血管内へ誤って注入されること)です。顔面には動脈が複雑に走行しており、部位によっては皮膚壊死や、ごくまれに視力障害につながる可能性があります。これは「どの製剤を使うか」より「誰が、どこに、どう注入するか」という解剖の理解と手技に左右されるリスクです。
「直美(チョクビ)」との違い
近年は、初期研修を終えてすぐ美容医療に進む、いわゆる「直美(チョクビ)」の医師も増えています。もちろん熱心な先生も多くいますが、顔面の血管・神経の走行を体系的に扱うのは、形成外科の専門研修で培われる領域です。当院の院長・加藤秀輝は形成外科専門医(JSAPS専門医)として、解剖にもとづいた安全な層・部位への注入を重視しています。授乳中というデリケートな時期だからこそ、麻酔量や製剤選択も含めて、専門医が直接判断することに意味があると考えます。
当院の考え方:施術後3日を目安に
麻酔成分は体から早く抜けますので、当院が設けている「施術後3日」は実質的にヒアルロン酸側の”念のため”の期間です。医学的に3日でなければならない明確な根拠があるわけではなく、48時間で十分とする考え方もあります。それでも、授乳という大切な時期だからこそ、あえて安全側に余裕をもたせた3日をご案内しています。ご不安が強い方には、この期間に搾乳しておく方法もご提案できます。
院長コメント|加藤秀輝(形成外科専門医・JSAPS専門医)
授乳中の患者様には、「理論上のリスクはとても低いこと」と「直接のデータは限られること」を、どちらも正直にお伝えするようにしています。数字だけで”絶対安全”と言い切るのではなく、ご本人が納得して選べることが一番大切です。名古屋・名駅で、専門医として一つひとつ丁寧にご説明します。
よくあるご質問
Q. 授乳中でもヒアルロン酸は受けられますか?
はい、受けられます。麻酔・ヒアルロン酸ともに母乳への移行はごくわずかです。当院では念のため、施術後3日を目安に授乳を再開いただくようご案内しています。
Q. 施術後、何時間あければ授乳できますか?
麻酔だけを考えれば半日〜1日で十分ですが、当院ではヒアルロン酸側の安全もふまえ、72時間(3日)を目安にしています。ご不安な方は搾乳して備える方法もあります。
Q. 妊娠中でもできますか?
妊娠中は安全性データがさらに乏しく、多くのクリニックが延期を推奨しています。当院でも妊娠中の注入はお受けしておりません。出産・授乳の状況が落ち着いてからのご相談をおすすめします。
Q. ヒアルロン酸で一番怖いのは母乳への影響ですか?
実はそれ以上に、まれですが血管塞栓などの手技に伴うリスクが重要です。顔面の血管解剖を理解した形成外科専門医が注入することが、安全性の要になります。
参考文献
- Drugs and Lactation Database (LactMed). Lidocaine. National Library of Medicine.
- Becker LC, et al. Final report of the safety assessment of hyaluronic acid, potassium hyaluronate, and sodium hyaluronate. Int J Toxicol. 2009;28(4 Suppl):5–67.
- Trivedi MK, Kroumpouzos G, Murase JE. A review of the safety of cosmetic procedures during pregnancy and lactation. Int J Womens Dermatol. 2017;3(1):6–10.
- Jakharia-Shah N, Chadha P, Watson L. A review of the safety of common aesthetic procedures during pregnancy. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2018;71(9):1364–1365.
記事監修医師
BelleViaClinic 院長
加藤 秀輝
日本専門医機構認定
形成外科専門医・指導医
整形外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)専門医
日本頭蓋顎顔面外科学会 専門医
【他資格・所属学会】
大学医学部を卒業後、形成外科および美容外科の最前線で研鑽を積み、日本専門医機構認定の形成外科専門医を取得。通算20年以上のキャリアの中で、JSAPS専門医をはじめとする複数の専門資格を保有しております。これまで多くの症例に向き合い、技術の研鑽を絶やすことなく続けてまいりました。
専門医としての誇りと責任を胸に、常に「本物の治療」を追求しています。私のポリシーは、単なる一時的な変化ではなく、中長期的に効果が続く質の高い医療を提供することです。患者様お一人おひとりの悩みに真摯に向き合い、最適なデザインと確かな技術をお約束いたします。